お知らせ
2023/05/26 14:18
「CoffeeRoastVivace(コーヒーローストビバーチェ)」代表の前田崇之です。今日はコーヒーの味を左右する「要素」についてご説明します。
突然ですが「美味しいコーヒー」と聞いて、どんな味を想像しますか?コクがある、まろやかな飲み口、酸味があってすっきりしている、苦味が効いてキレがある…等、人によって答えはバラバラなのではないでしょうか。
それもそのはず。美味しいというのは「好み」によるので、人によって美味しいと感じる味は違います。
その「美味しい」と感じる要素は何によってできているか、ここで紐解いていきましょう。
【コーヒーの味わいに関する要素について】
まず、コーヒーの味は、様々な要素が「合わさって」できています。
それを私たちは「酸」「たんぱく質」「糖」「油分」の掛け合わせで捉えています。
■酸
いわゆる酸味につながる要素です。コーヒーでは「フルーツ感」にも直結します。
この酸ですが、実は数百種類あると言われています。
フルーツを考えてみるとイメージしやすいかもしれません。
いちご、ぶどう、りんご、もも、みかん、パイナップル……
それぞれ甘くて美味しい果物ですが、感じるすっぱさ(フルーツ感)はまったく違いますよね。
同じいちごで考えても、
あまおう、とちおとめ、とちあいか、スカイベリー、ミルキーベリー…
品種や地域が違えば、感じるフルーツ感も全く別物。
これもまさに、数百種類ある中から、
・もっている酸の組み合わせ
・もっている酸のそれぞれの量
が違うことで、感じる味わいが変わってくるのです。
そのため、
・いちごのようなニュアンスを持つコーヒー
・オレンジのようなニュアンスを持つコーヒー
というような、コーヒーごとに感じるフルーツの印象も変わってくるのだと思います。
■たんぱく質
コーヒーには旨味があります。いわゆる「コク」につながっているものだと捉えています。
お肉を焼いたとき、赤いお肉が褐色に変化して、「美味しそうな香り」がしてきますよね。
実はコーヒーでも同じようなことが起こっています。
メイラード現象と呼ばれるもので、コーヒー豆の中のアミノ酸がショ糖と反応して、
いわゆるコーヒーらしい「良い香り」を発しながら、旨味を増やしていきます。
このアミノ酸も数十種類あると言われていて、アミノ酸の組み合わせと量も、
コーヒー豆によって違っているわけです。
そのため、「しっかりしたコクのあるコーヒー」「あっさり軽い味わいのコーヒー」など、
コクの違いが出てくるものだと思います。
■糖
シンプルに、コーヒーの甘さに影響します。
どんなコーヒーも、糖を持っています。そのため焙煎によって甘さを引き出すことができます。
ブラックで飲んでも甘さを感じる、それはコーヒーが持つ糖によるものなのです。
また、コーヒーに求める方も多い「美味しい苦味」。
これは糖が「カラメル化」することで、生み出されるものです。
コーヒーは初めから苦いわけではないのです。焙煎することで苦味を生み出します。
この苦味も実は、持っている糖の性質によって、
「キリっとキレのある苦味」「厚みを感じるまったりした苦味」という違いがあります。
■油分
コーヒー豆にはもともと油分が含まれています。
この油分はまったり感・もったり感のような「飲み口の余韻」に影響してきます。
「テリがあるコーヒーは油が多いの?」というとそうではありません。
これは焙煎の過程で、コーヒー豆に細かいヒビが入り、もともと持っている油分が、
表面ににじみ出てきている状態です。
油分と言っても、
サラダ油、ごま油、オリーブオイル、アマニオイル、ココナッツオイル…
のように種類によって「味わいの重たさ」が違います。
それと同様に、コーヒー豆によって、
・油分の種類
・油分の量
が異なります。そのため、コーヒーによって「軽い飲み口」「重たい余韻」という違いがあるのでしょう。
このように、コーヒー豆には「味を形成する要素」があります。
それぞれの要素をコントロールして、お客さま一人ひとりのお好みに合うような焙煎をするのが当店の役割。
でも、これらを全部把握して、「こういう風に焙煎してください!」というのは難しいですよね。
そのため、下記のように当店では「焙煎度合」を定めています。
■焙煎度合でコントロールする、豆それぞれ引き出したい特徴
もちろん、豆自体が持っている特徴によって、焙煎加減ごとに感じる味わいも変わりますが、
上記のような特徴を考えて、「自分はこんな味が好きなんだ!」と見つけていただけると楽しさが広がるように思います。
■おまけ:コーヒー焙煎の天敵、苦味とは似て非なる「焦げ味」
BBQや焼肉で、油断するとうっかり真っ黒に焼け焦げてしまうことありますよね。
あの焦げは、香ばしさとは違った「炭のような焦げ味」を感じる方も多いのではないでしょうか。
あの焦げは、まさに「炭化」と呼ばれる作用でできた「炭」なのです。
これは苦味とは「できあがる温度」に違いがあります。
コーヒーの焦げ味は、甘さや香ばしさよりも強く感じてしまうものなので、
焙煎の火加減が強くてムラができやすい状態だと、浅煎りのつもりでも焦げ味を感じることがあります。
逆に、フレンチやイタリアンでの焙煎では、この焦げ味をほどよく引き出すことも焙煎のポイント。
ただし、意図しない焦げ味は風味を妨げてしまうので、注意が必要です。
■焙煎は「料理」。素材を活かしながら求める味を引き出すのが醍醐味
このように、豆ごとに違う要素を捉えて、お客さまのお好みに合う豆をご提案し、焙煎でお好みの味に整えるのが、
焙煎店の存在意義だと思っています。そのプロセスは、まさに料理と一緒。
是非一緒に、お好みのコーヒーの味わいを探させてください。
「これ美味しい!」が見つかることを、私たちも楽しみにしています。